2023.08.31   ブログ  
はじめてのBCP体制構築②

前回に引き続き、BCP体制構築について記載していきます。
今回は、BCP導入の手順の中でも皆さんが、難しいと感じるリスクアセスメント(RA)について見ていきたいと思います。

はじめに、リスクアセスメントの説明に入る前に、BCPとリスクアセスメントの重要性について考えます。

事業継続計画(BCP)の本質は、予期せぬ災害や事態が発生した場合でも、事業の継続、または最短時間での再開を確保するためのものです。そのため、リスクアセスメントは、BCPの策定において不可欠なプロセスとなっています。

しかし、なぜリスクアセスメントがこれほどまでに重要なのでしょうか?

想定される災害や事態が実際に発生したとき、組織の経営資源(例:建物、設備、人員、システム)にどのようなダメージが及ぶのかを明確にすることは、有効な対応策を計画する上で欠かせません。また、受けるダメージが即時に復旧可能なものなのか、それとも長期的な影響を及ぼすものなのかを正確に評価することで、より具体的で効果的なBCPを策定することができます。

リスクアセスメントは確かに難解な部分も多いですが、このプロセスを適切に実施することで、組織が将来的な危機に迅速かつ効果的に対応する能力を高めることができます。

それでは、これから、リスクアセスメントの実施方法について解説していきます。

以下にリスクアセスメントシート例をつけています。イメージは製造業です。

左の項目から順に見ていきます。
①No:管理NOを記載します。
②対象災害:BCPの対象とする災害を記載します。今回は大地震に対するリスクを洗い出しています。
③リスク:大地震が発生した時に想定されるリスクを洗い出します。例えば、大地震によって工場設備が損壊するという直接的な損害だけでなく、大地震によって、さまざまな混乱が生じた結果、従業員の安全が確保できないというような間接的なリスクも考慮します。
リスクを洗い出すポイントとして、所有する経営資源(建物・設備・人・システムなど)ごとにどのような影響が及ぶのかを考えると分かりやすいです。
④リスク詳細:リスクの詳しい説明を記載します。
⑤影響:そのリスクが実際に発生した場合に想定される影響を記載します。
⑥発生確率:そのリスクが発生する可能性 (例:高、中、低)を記載します。
⑦影響度:そのリスクが顕在化した際の影響の大きさ(例:高、中、低)を記載します。
⑧優先度:発生確率と影響度に基づき、リスクの優先度を決定します。高い発生確率と影響度を持つリスクほど、対策の優先度が高くなります。
⑨対策:各リスクに対する具体的な対策を検討します。
⑩責任者:リスク対策の実施責任者を指定します。対策が適切に実施できるように責任者を定めくことをお勧めします。
⑪対策完了予定日:対策の完了予定日。対策完了後、定めた対策を実施し、定期的にその効果を評価します。新たなリスクが発見された場合、リスクアセスメントシートを更新し、再評価します。

今回はリスクアセスメントの実施方法についてみてきました。リスクアセスメントは、事業継続計画を策定する際の中心的なプロセスです。正確かつ効果的にこのプロセスを実施することが、BCPの成功につながると考えております。


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