2024.03.18   ブログ  
BCP机上訓練の効果的な進め方

多くの企業様は自然災害を対象とした事業継続計画(BCP)の策定を既に完了していると思われます。ただし、BCPは「作成したら終わり」ではなく、実際の災害発生時に機能するよう、定期的な訓練を通じて継続的に改善していく必要があります。

机上訓練とは?
机上訓練と言っても、具体的に何をすればよいのでしょうか?今回は比較的準備しやすい机上訓練について説明します。机上訓練とは、緊急事態発生の想定シナリオを作成し、その想定シナリオに対してどのように対処するかを、机上でシミュレーションする訓練のことです。

■机上訓練の目的
まず、机上訓練の目的を考えます。(訓練終了後にこの目的が達成できたか評価します)
・事業継続計画に大きな抜け漏れや誤りがないか検証する。
・想定シナリオの状態になった場合、適切な判断と行動ができるか検証する。
・想定シナリオの状態になった場合、情報を迅速に集約することができるか検証する。等

■想定シナリオの設定
次に、想定シナリオの設定を行います。例えば、大地震が発生した際の具体的な想定被害を検討します。想定シナリオは、訓練参加者に現実感を持ってもらえるように具体的な被害想定の設定を行いましょう。ただし、この作業に必要以上に時間をかけすぎないよう気を付けるのがポイントです。国や自治体が公表している被害想定などの既存資料を最大限活用することをお勧めします。
例)首都直下型地震による被害想定
・停電、商用電話回線の不通及び断水は、1週間継続する。
・下水道の利用支障は、1か月継続する。
・地下鉄の運行停止は、1週間継続する。JR及び私鉄の運行停止は、1か月継続する。
・主要道路の啓開には、1週間を要する。
※出典:政府業務継続計画(首都直下地震対策)平成26年3月

■訓練の実施方法
訓練当日は、計画書に従って、事務局がウォークスルー形式で進めます。訓練終了後には、訓練全体を評価する機会を設け、現在のBCPの不足事項や今後の検討事項を洗い出します。また、訓練によって洗い出された課題については、BCPの改善に役立てます。

■机上訓練計画書のサンプル
以下は、大地震を想定した机上訓練計画書のサンプルです。
目的
緊急時の対応プロセスの確認
情報収集と共有の効率化
意思決定プロセスの検証

想定シナリオ
地震発生時刻:午前9時
震源地:東京都
マグニチュード:7.5
被害状況:本社ビルの一部損傷、交通網の一部寸断

訓練スケジュール
09:00 – 09:15:訓練の説明と想定シナリオの共有
09:15 – 09:40:初期対応のシミュレーション
09:40 – 10:10:情報収集と共有のプロセス
10:10 – 10:40:緊急会議の開催と意思決定
10:40 – 11:00:訓練の振り返りとフィードバック

参加者
事務局
重要業務メンバー
その他関連部署のメンバー

■まとめ
BCPの机上訓練は、事業継続計画書を作成するだけ完了とするのでなく、実際に使える計画書とするためのステップです。定期的な訓練と改善を通じて、企業は災害に対するレジリエンス力を高めることができます。この機会に、ぜひ机上訓練を効果的に進めるためのポイントをふまえ、実践してみてください。


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