業務日誌

取引先から求められる“人権チェック”への向き合い方

こんにちは。

最近、中堅・中小企業のご担当者様から、次のようなご相談をいただく機会が多くなってきました。

「大手取引先から、急に人権への取り組み状況を教えてほしいというアンケートが届いた。
人権方針は一応作ったものの、具体的に何から始めればよいのか分からない……」

ドイツの法やEUの規制動向などを背景に、日本でも
「自社だけでなく、サプライチェーン全体で人権が守られているかを確認する」
という流れが急速に広がっています。

今回は、「何から手をつければいいの?」とお悩みの皆様に向けて、理論よりも“明日から動ける仕組み”の作り方を解説します。

 

1.まずは「完璧な理論」より「回る仕組み」を

ご担当者が最初に悩まれるのが、

「人権デューデリジェンス(人権DD)とは、どれほど高度なことを求められるのか?」

という点です。

私たちは、まず次のようにお伝えしています。

難しい理論は後回しで構いません。
大切なのは、無理なく継続できる仕組みを作ることです。

最初のステップ

・人権方針がない場合
難解な表現は不要です。簡易なテンプレートを活用し、「自社が何を大切にするか」をシンプルに示すことから始めましょう。

・自社の状況を基本項目で点検する
国際的な基準に照らし、以下のような観点で確認します。

チェック例
・児童労働はないか
・強制労働はないか
・長時間労働・過重労働はないか
・ハラスメント防止策はあるか
・外国人労働者への適切な配慮がなされているか

2.「見えない先」のリスクをどう把握するか

多くの企業が直面するのが次の課題です。

「一次取引先までは把握できるが、その先の二次・三次サプライヤーまでは見えない」

すべてを一度に調査するのは現実的ではありません。
まずはリスクの高い領域を絞り込むことが重要です。

優先順位の付け方
・国・地域で絞る
人権リスクが高い地域からの調達がないか確認する
・業種・業務で絞る
例:外国人技能実習生の比率が高い現場/労働環境が厳しいとされる業種・工程

このように重点領域から調査を進めることで、現実的かつ効果的な対応が可能になります。
また、業界共通のプラットフォームを活用し、効率的に情報を収集する方法も有効です。

3.「作っただけ」で終わらせない体制づくり

よくあるのが、

「方針は策定したが、現場では特に何も動いていない」

という状態です。

人権DDは、一度きりの対応ではなく、継続的な管理活動です。
形骸化を防ぐために、次の4点を整えましょう。

・推進体制の明確化
人事・調達・法務など、関係部署を横断して担当を決定する
・年間計画の策定
調査や研修の実施時期をスケジュール化する
・相談・通報窓口の整備
従業員や取引先が問題に気づいた際に、安心して声を上げられる仕組みを作る
・経営層への定期報告
人権課題を会社全体の経営課題として共有する

まとめ:人権対応は「守り」であり「攻め」でもある

人権への対応は、単に「取引停止リスクを避けるための守り」ではありません。

適切な対応を行う企業は、
「信頼できる取引先」として選ばれる存在になります。

もし「どこから始めればよいか分からない」と感じた場合は、

  1. 自社のバリューチェーン(事業の流れ)を書き出す
  2. 気になる工程や取引先に印をつける

このシンプルな作業が、最初の一歩になります。

 

株式会社ERM総合研究所では、型どおりのコンサルティングではなく、
企業規模や実態に応じた、実効性のある人権DD体制の構築を支援しています。

「まずは話を聞いてみたい」という段階でも構いません。
どうぞお気軽にご相談ください。

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