2024.11.13   ブログ  
効果的な全社的リスクマネジメントの構築 ~他社事例から学ぶ~

皆様、こんにちは。本日は、全社的リスクマネジメント(ERM: Enterprise Risk Management)を導入しているものの、十分な効果が得られていないと感じている経営層の方々やリスク担当部門の方々に向けて、他社事例を交えながら効果的なERMの構築方法をご紹介いたします。

  1. 現状の課題:ERMの効果が発揮されない理由
    多くの企業が全社的リスクマネジメントを導入していますが、実際には期待した成果が得られないケースも少なくありません。その主な原因として、以下の点が挙げられます。

    • トップマネジメントのコミットメント不足
    ERMは組織全体で取り組むべき活動ですが、経営層の積極的な関与が不足していると、現場での実行力が弱まるケースがあります。

    • リスクの一元管理の欠如
    部門ごとにリスクを管理していると、全社的な視点が欠け、重要なリスクが見逃される可能性があります。

    • 事後対応の偏重
    委員会がインシデントおよびその対応策の進捗報告の場となっていると、事後的な対応に偏り、予防的な視点が欠けてしまう可能性があります。

    • 適切なツールとプロセスの不足
    効果的なERMには、リスクの洗い出し、分析・評価、対応、モニタリング・改善を行うための適切なツールとプロセスが必要です。

    他社の成功事例に学ぶ効果的なERMの実践
    では、他社がどのようにして効果的なERMを構築し、実際に成果を上げているのか見ていきましょう。

    事例1:サービス業A社のトップダウンアプローチ
    A社では、ERMの導入にあたり、まず経営層がリスクマネジメントの重要性を再認識し、全社的なコミットメントを表明しました。その後、各部門にリスクオーナーを配置し、定期的なリスクアセスメントを実施。さらに、リスク情報を一元管理することで、迅速な意思決定を可能にしました。この結果、A社は市場変動やサプライチェーンのリスクに対して柔軟に対応できるようになりました。

    事例2:製造業B社のリスク文化の浸透
    B社では、リスクマネジメントを組織文化の一部として定着させることに注力しました。具体的には、リスク担当者・リスクオーナー向けのリスクマネジメント研修を定期的に実施し、リスク意識の向上を図りました。また、リスクに関する報告やフィードバックを奨励する仕組みを整え、リスク情報の透明性を高めました。この取り組みにより、B社は潜在的なリスクを早期に発見し、迅速に対応できる体制を構築することができました。

    効果的な全社的リスクマネジメント構築のための手順
    他社事例から学んだ、効果的なERMの構築方法を以下のステップとしてまとめました。

    ①経営層のコミットメントを確立する
    ERMの成功には、経営層の強いコミットメントが不可欠です。経営層がリスクマネジメントの重要性を認識し、積極的に関与することで、組織全体にリスク意識が浸透します。

    ②リスクオーナーの明確化と役割分担
    各部門ごとにリスクオーナーを任命し、リスク管理の責任を明確にします。これにより、各部門が自部門のリスクに対して責任感を持つようになり、全社的なリスク意識の向上につながります。

    ③統合されたリスク管理ツールの導入
    リスク情報を一元管理できるツールを導入し、リアルタイムでのリスク評価およびモニタリング結果の報告を可能にします。これにより、迅速な意思決定とリスク対応が実現します。

    ④定期的な教育研修
    ERMは、構築すれば終わりではなく、リスク担当者・リスクオーナー向けのリスクマネジメント研修を定期的に実施し、リスク意識の向上を図ることで、企業内のリスク文化が浸透し、全社的リスクマネジメントの効果が最大限に引き出されます。

    まとめ
    全社的リスクマネジメントは、企業の持続的成長と競争力の維持に不可欠な要素です。しかし、導入だけではなく、経営層の強いコミットメントや組織全体でのリスク意識の浸透が求められます。他社事例から学び、貴社に最適なERMの構築を進めていくことが重要です。
    ぜひ、今回ご紹介したステップと事例を参考に、効果的な全社的リスクマネジメントの実現にお役立てください。

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