業務日誌

大型台風シーズン前のBCP見直し

企業を取り巻く災害リスクが高まる中、BCP(事業継続計画)を策定する企業は増えています。しかし、「作成したまま何年も見直していない」というケースも少なくありません。BCPは作成して終わりではなく、事業環境やリスクの変化に合わせて定期的に見直し、更新することで、いざという時に機能します。
これから大型台風の接近・上陸が増える時期を迎えるため、今月はBCPを見直す良いタイミングです。気象庁でも、台風や大雨による被害を軽減するため、ハザードマップや避難場所の確認、非常用品の準備など、災害が発生する前の備えの重要性を呼びかけています。
そこで今回は、風水害シーズン前に確認しておきたいBCP見直しの5つのポイントをご紹介します。
① 自社拠点の風水害リスクを正しく把握できていますか?
「以前ハザードマップを確認したから大丈夫」と思っていないでしょうか。
浸水想定区域や土砂災害警戒区域、河川氾濫のリスクは地域によって大きく異なります。また、本社だけでなく、工場や営業所、物流拠点、委託先の所在地も確認することが重要です。
BCPは適切なリスク認識が出発点です。前提となるリスク情報が古いままでは、適切な初動対応はできません。
② 重要業務は現状に合っていますか?
BCPの目的は、重要な業務を継続し、停止した場合でも早急に復旧させることです。
しかし、策定当時と現在では事業内容が変化している場合があります。主力商品やサービスが変わったり、新たな収益源が生まれたりしているにもかかわらず、優先復旧業務が更新されていないことも少なくありません。
特に台風や豪雨では、会社全体が停止するとは限りません。物流の停止、従業員の出勤困難、停電によるシステム障害など、一部の業務だけが影響を受けるケースも多く見られます。そのため、どの業務を優先して継続・復旧させるのかを現実に合わせて見直しておくことが重要です。
③ 連絡体制は本当に機能しますか?
緊急連絡先の名簿を更新しただけで安心していないでしょうか。
災害時に重要なのは、「誰に連絡するか」だけでなく、「本当につながるか」「誰が意思決定するか」です。
電話がつながらない場合に備えたチャットやメール、安否確認システムの運用方法、夜間・休日の初動責任者なども事前に明確にしておく必要があります。
災害当日に確認するのではなく、平時のうちに体制を整理しておくことが重要です。
④ 代替手段は使える状態ですか?
BCPには代替拠点やバックアップシステム、在宅勤務体制などが盛り込まれていることが一般的です。
しかし、実際には契約内容が変更されていたり、システム環境が変わっていたりして、計画どおりに運用できないケースもあります。
風水害では停電、通信障害、物流停止が同時に発生する可能性があります。代替策は「計画書に書かれていること」ではなく、「今すぐ使えること」が重要です。
一度、実際に動かせるかどうかを確認してみましょう。
⑤ 実際の災害を想定した訓練を行っていますか?
BCPは訓練を行って初めて実効性が確認できます。
例えば、
・台風接近の3日前
・線状降水帯情報の発表時
・主要取引先の配送停止
・拠点周辺の道路冠水
といった具体的な場面を想定した机上訓練を実施するだけでも、多くの課題が見えてきます。
想定外の事態を完全になくすことはできません。しかし、想定漏れを減らすことはできます。

■まとめ
台風や豪雨への備えは、一部の企業だけに必要なものではありません。毎年発生する可能性があるリスクだからこそ、平時の小さな見直しが大きな差につながります。
この6月、次の5つの視点からBCPを見直してみてはいかがでしょうか。
・災害リスク
・重要業務
・連絡体制
・代替手段
・訓練
BCPを年1回の形式的な点検で終わらせるのではなく、実際の災害時に役に立つ計画として継続的に見直し、運用していくことが重要です。平時から備えを整えておくことで、従業員の安全確保はもちろん、事業への影響を最小限に抑え、早期復旧や取引先からの信頼維持にもつなげることができます。

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